なんと「つみたて」枠は年間上限が40万円から120万円、「一般」(「成長投資枠」と名称変更)は年間上限が120万円から240万円となる。しかも、これまでは「つみたて」と「一般」のどちらか一方だけしか利用できなかったのが、両方可能となる。つまり、年間上限枠は360万円である。これは大胆な改革だといえるだろう。こうなれば、今まで枠内で我慢して投資をしていた人の多くは投資額を増やすだろう。とは言っても、人間はリスクを過大評価する傾向をもつ。
たとえば、以下のAとBのどちらの状況を選ぶかと問われたらどのように答えるだろうか。
A 確実に100万円が手に入る
B 50%の確率で320万円得るかしれないしが、残り50%の確率で100万円失うかもしれない
この場合、リスクを嫌がり、多くの人がAの状況を選択する。期待値で考えれば、Bの方がお得であるが、お金を失うかもしれないという状況を過度に嫌がるのである。このような人間の行動特性の理論を行動経済学では「プロスペクト理論」と呼ぶ。
このような行動特性から抜けきれない限り、貯蓄から投資への流れは進まないだろう。では、どのような手があるか。たとえば、元本保証の国債を一定枠内であれば購入可能としてしまうというのはどうだろうか。現在はNISA枠で国債は購入できないが一定枠内での購入を認めることにすれば、口座開設をする人も増え、その人たちがその他の金融商品にも興味をもつようになっていくかもしれない。