Education 2030では、2030年に求められるのは、「変化をもたらすコンピテンシー」であり、具体的には、「新たな価値を創造する力」、「対立やジレンマに対処する力」、「責任ある行動をとる力」と位置づけされた。
「新たな価値を創造する力」は、DeSeCoプロジェクトにおける「道具を相互作用的に用いる力」を原型とするものである。これまでは、スマートフォンなどの新たな道具を使いこなしていくことが重視されたが、そのような既存の道具を使いこなすだけでなく、社会問題を解決できるようなもの、それは物理的な道具だけでなく概念、考え方、サービスなど生み出す力であるとされている。たとえば、グラミン銀行による金融サービスは、貧困という社会問題解決を行う新たなアプローチの開発であったといえるだろう。
このような「新たな価値を創造する力」をつけるためには学校教育はどうあるべきだろうか。そのためには、生徒自身が現状に対して批判的な視点をもち、よりよいものに変えていこう柔軟に発想していく機会を与えることが重要であると考えられる。たとえば、環境問題をどうするべきかなどの実社会と自らが学校で学んでいることをつなげるような機会を与えることによって、新たなアイディアや洞察を生み出すことができるとされている。(OECD,2019)
また、新たなイノベーションを起こす場合には、そこには倫理や価値の問題も生まれてくる。たとえば、AIやビッグデータの利活用や、遺伝子組み換え操作などは人間の単なる思いつきだけで問題解決へと向かうことができないものである。そのため、倫理的な側面についても自ら省察する機会を与えることが「新たな価値を創造する力」を育成する上では必要となるだろう。
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